Balade dans l'Art Roman en France

●リヨン LYON 1 Lyon1
リヨン  Lyon 1
フランス第二の都市であり、金融の中心であるリヨンの街の歴史は古く、ローマの時代は植民市として繁栄、カロリング朝の時代には司教座が置かれます。13世紀には2度の公会議が開催されました。旧市街 Vieux Lyonはユネスコ世界遺産登録されています。
同時にリヨンは、絹織物、そしてグルメの街。絹織物については、14世紀頃から交易の一大中心地として発展を初め、19世紀前半にはヨーロッパ最大の繊維工業都市になります。また、食通の街・リヨンのレストラン等は質が高いことで有名で、ほか、2年に一度製菓ワールド・カップが開催されます。夏には音楽イベント「フルヴィエールの夜 La nuit de Fourvière」がローマ劇場で開催され、12月の「光の祭典 Fête des lumières」の期間中は、街中がイルミネーションで彩られます。

コンテンツ Contenus

1
バジリク・サン・マルタン・デネー Basilique Saint-Martin d'Ainay

2
エグリーズ・サン・ポール Eglise Saint-Paul de Lyon

3
アベイ・ド・リル・バルブ Abbaye de l'Ile Barbe

参考 Référencesとリンク Liens

アクセス Accès



バジリク・サン・マルタン・デネー
Basilique Saint-Martin d'Ainay

この地に建てられた教会堂の起源については諸説あるようですが、古文書で初めて教会堂の存在を確認できるのは、カロリング朝の時代、859年です。この時はベネディクト会の小修道院教会でした。しかし残念ながら、この時の教会堂の遺跡は何ら残っていません。
修道院教会は建物を当世風にするため、11世紀末に建替えられました。これが現存の教会堂です。この新しいロマネスクの教会堂は、1107年に奉献されますが、12世紀初めにはすぐに修復工事が開始されます。尚、17世紀末に修道院は消滅し、教会堂は教区教会になります。

19世紀に全体的に修復工事が施され、同時に教会堂は拡張されました。この工事の際、ロマネスクの時代に建てられた部分を壊さずに修復が施された、とのことですが、これを境に教会堂が大幅に様変わりしたことは否めません。
リヨンのサン・マルタン・デネー大聖堂は、「フランス歴史的記念物(Monuments Historiques/MH)」に指定されています。

La basilique Saint-Martin d'Ainay est classée au titre des monuments historiques (MH).

この教会堂はリヨンで残されている珍しいロマネスクの教会堂で、リヨン歴史地区のプレスキル Presqu'îleの南に位置します。三廊式のバシリカ型の教会堂です。

■Extérieur : clocher-porche

鐘楼が上に聳える玄関廊 Clocher-Porcheは、10-12世紀の間に数段かに分けて建てられた(1000年頃に最下層、11世紀の間に2・3層目、12世紀に最上層)、或いは1000年頃に、後述のシャペル・サント・ブランディヌ Chapelle Sainte-Blandineと同時に建てられたと考えられています。

最下層では大きく切り出された石材が使われていますが、これはローマの遺跡にあったものを再利用したものです。最上層のコーナーにあるピラミッド型の装飾が印象的で、最上層のみ、開口部は2つ一組になっています。

Décor en brique

建物の模様は、レンガによるものです。

2・3層では、アクロバティックなポーズをした人物等の彫刻がみられます。まるで壁にしがみついているようです。

Personnage sur le mur du clocher-porche



Quinze métopes du XIIe siècle :  des animaux symboliques et des scènes  énigmatiques

de gauche,
Cerf,
Lion,
Personnage trônant, devant un personnage qui désigne de la main une  étoile,
Basilic,
Lion,
(Non idéntifié),
et Dragon ailé.


クロスの上に12世紀初めに制作された15のメトープが並びます。うち、オリジナルは8つです。 ひとつのサイズは、横25-35センチメートル・縦20センチメートルです。ライオン、鹿、鳥といった動物の他、バジリスク、グリフォン、ドラゴンといった空想の生き物も見られます。

Vue du nord


実際にはファサードは北西を向いています。ファサードと身廊の縦軸は、微妙にずれています。


教会堂の北側には回廊がありましたが、19世紀の修復工事の際に姿を消しました。


■Extérieur : portail central


Voussure et chapiteau


12世紀末に入り口は造り替えられ、アーチは半円筒型から尖頭型になりました。玄関廊内部はオジーヴ・ヴォールト天井です。1830年にこの入り口は修復されています。



Tympan du porche : le Christ en majesté, entouré par des évagélistes en symbole.

ファサードの中央入り口からは玄関廊をみることができます。室内に通じる扉の上に、タンパンがあります。テーマは「栄光のキリスト」で、キリストは四福音書記者(シンボル)に囲まれています。




Chapiteaux de l'intérieur du porche : deux masques grimaçants


玄関廊の側壁には、連続アーチの装飾があり、それぞれのアーチの麓には柱頭彫刻がみられます。左右共に、一番外側の柱頭には、モンスターのような顔が彫られています。

■Extérieur : baptistère


La décapitation de /Le martyre de saint Jean Baptiste
ファサード北側に、洗礼堂があります。ここは19世紀の修復工事の際に建てられました。
洗礼堂の外壁にタンパンが埋め込まれています。制作は12世紀に遡り、かつては教会堂の北側の扉を飾っていたものが、19世紀に現在の場所に移されました。(現在北側の入り口は埋められています。)

■Extérieur : tympan du baptistère

Registre supérieur : le festin d'Hérode et la danse de Salomé.


Registre inférieur : Jean-Baptiste est décapité (au centre), sa tête est emportée (à  gauche), et son corps est mis au tombeau.


Extrémité gauche : un arbre (en haut) et un diable.


Extrémité droite : l'âme de Jean-Baptiste est emportée au ciel.




上層では、ヘロデ王の饗宴でサロメが踊っています。下層では、洗礼者ヨハネが頭を落とされ(中央)、その頭が饗宴の場へ運ばれようとしている(左)傍らで、身体は墓におさめられます。左端には悪を象徴する木(上)と、悪魔の姿があります。右端は、ヨハネの魂が天へ昇っていく様です。


Vue du sud / tour-lanterne

もう一つの鐘楼はランタン型 Tour-lanterneで、トランセプト交差部にあります。このランタン型の鐘楼は1層のみで、開口部はやはり2つ一組になっています。

■Extérieur : chevet
所狭しと様々な形の箱がぎゅうぎゅう詰め込まれているような印象ですが、全体として調和がとれています。後陣は12世紀に遡ります。

後陣祭室は2つあり、屋根は階段状になっています。写真左端の祭室シャペル・サント・ブランディヌ Chapelle Sainte-Blandineの壁にも、レンガによる装飾がみられます。ちなみに、19世紀の修復工事で、この模様は減ったようです。

写真右端は、15世紀に建てられたゴシック様式の祭室シャペル・サン・ミシェル Chapelle Saint-Michelです。19世紀の工事の前には、この祭室の北東側にエグリーズ・サン・ピエール Eglise Saint-Pierreがありましたが、写真手前の通りのために壊されました。Eglise Saint-Pierreにあった数点の石像は、Musées Gadagneに所蔵されています。


■Extérieur : porte nord


Tympan : le miracle du pin (saint Martin au centre)





■Intérieur : nef
教会堂は長さ34メートル、幅17メートルあります。元来、身廊と側廊は木造天井でしたが、19世紀の修復工事の折1836年に、石造ヴォールトに造り替えられ、だいぶ天井も高くなりました。また側面の開口部もより大きくされたそうです。


カロリング朝時代の教会堂は、シンプルなバシリカ型だったようですが、ロマネスク・スタイルの教会堂建設時に、内陣側に新たに4本の一本石の円柱を設置することで、トランセプトが設定されました。そのようなわけで、トランセプトの両翼廊は、外に張り出していません。



Vue du sud-est


Bas-côté sud




Chapiteau de la nef : feuilles d'acanthes
Base d'un pilier


身廊の柱頭彫刻は、1000年頃、当世風でなく古代のコリント風で制作されました。ちなみに19世紀に修復されています。



■Intérieur : croisée / coupole sur trompes

トランセプト交差部にあるクーポルは、トロンプ技法によります。この上にランタン型の鐘楼が聳えます。クーポルを支える柱の柱頭には彫刻が施されており、制作はロマネスクの時代に遡るようですが、残念ながら目で捕らえるのは困難です。


Peinture

Au cnetre, le Christ entouré  par des anges et les personnages de l'Apocalypse en symbole (lion, aigle, taureau, et ange) sur les quatre trompes.

クーポルには、天使達が取り囲む聖母マリア中心に旧約聖書に登場する人物達、そして四隅のトロンプ(スキンチ)の部分には、四福音書記者(シンボル)が描かれています。
ちなみにこの下にロマネスク時代のフレスコ画が隠れているそうです。

■Intérieur : choeur


Peinture : fausse mosaïque
内陣の奥行きは狭く、僅か2.5メートル、交差ヴォールトで天井は覆われています。後陣は半円プランです。

内陣の天井画は19世紀半ばにモザイク風に制作されました。
トランセプト交差部の四隅にある巨大な4本の円柱は、Vieux Lyonの北部、クロワ・ルッス Croix-Rousseの坂道にあったローマ時代遺跡のものが再利用されています。なんと一本石です。ちなみにクロワ・ルッスには、ローマ時代の円形闘技場跡があります。

■Intérieur : chapiteaux aux deux côtés du choeur
内陣の入り口、すなわちトランセプトと内陣を仕切るアーチを支える柱には、ロマネスク時代に制作された彫刻が見られます。
Chapiteau nord

Face frontale : le rachat (à  gauche, les offrandes-sacrifice d'Abel et de Caï n, et  à  droite,  le combat de saint Michel contre un monstre)
Face nord (gauche) : le meurtre d'Abel
Face sud : Jean-Baptiste
Jean-Baptiste

Chapiteau sud

Face frontale : la faute originelle (de gauche, la faute, un arbre et la sanction)
Face nord (gauche) : le Christ-Dieu en Gloire
Face sud : l'Annonciation
Le Christ-Dieu en gloire

■Intérieur : quatre pilastres dans l'abside

後陣の開口部の両脇にあるピラスターには、繊細な彫刻装飾が施されています。1120年-1135年の間に制作されたものと考えられています。プレ・ロマネスクとカロリング朝の時代の影響が見られ、イタリアやアイルランドの教会堂、ノルウェーの木造教会等との類似が指摘されています。




Pilaster  à l'extrémité gauche






左端のピラスターは、同心円のサークル模様が縦3列に並びます。


   2e pilastre de gauche





ピラスターが立つ部分にも、また、ピラスターの両脇の開口部の柱にも、彫刻が施されています。ピラスターの上の柱頭部分には、植物模様が彫刻されています。



   2e pilastre de droite



このピラスターの唐草模様は、人間或いはグリーン・マンの口が起点になっています。

L'Agneau divin règne  au sommet des pilastres. 左端のピラスターを除く3つのピラスターの頂は、神を象徴する羊 Agneau Pascalが彫られています。



   Pilaster  à l'extrémité droite




中央2つのピラスターではメダイヨンは円形ですが、右端のピラスターでは、メダイヨンは四角形になっています。ここにはペリカン Pélican(キリストのシンボル)の姿もあります。


Des motifs aux bases des pilastres, prennent les sarcophages paléochrétiens pour modèle

ピラスターの土台のモティーフは、初期キリスト教時代の石棺をモデルにしていると考えられます。ロマネスクの時代に制作されたものとされていますが、一部は19世紀に制作されたものとする説もあります。左端のピラスターのみ人物ではなく、魚(キリスト教のシンボル)と鹿(良きキリスト者のイメージ)です。






■Intérieur : absidioles



Absidiole nord dédiée  à  Saint-Benoît
Absidiole sud dédiée  à  Saint-Badulphe



17世紀から1820年少し前まで、聖母マリアに捧げられた祭室でした。


内陣両脇の後陣祭室の天井画は共に19世紀に遡ります。これらもまたモザイクではありません。






■Intérieur : chapelle Sainte-Blandine

シャペル・サント・ブランディヌは教会堂の南東側にある祭室です。7世紀、カロリング朝の時代に遡り、プレ・ロマネスク様式の造りです。教会堂の中で最も古い部分です。

現存の祭室は、ロマネスクの時代、1000年頃に建替えられた時のもので、更に1100年頃修復・改修されています。この時祭室の身廊は拡張され、壁はより高くされました。祭室の後陣外壁にあるレンガによる寄木細工のような模様も、この頃に施されました。ちなみに祭室の身廊は、19世紀に大幅に手が加えられています。

祭室の身廊の天井は半円筒ヴォールトで覆われています。ちなみにそれ以前10世紀には、木造天井でした。かつて床は1メートル以上低く、モザイクで覆われていたと考えられています。

祭室の内陣は四角形のプランで、小円柱や柱頭彫刻で装飾されています。天井はトロンプ技法によるクーポル(ハーフ) Demi-coupole sur les deux-trompesになっています。モディロンは現代に制作されたものと置換えられていますが、オリジナルはMusées Gadagneに収蔵されています。また、床にはロマネスク時代のモザイクが一部残っているそうです。

Chapiteaux du l'an mil de l'abside
Autel





Mosaïque : l'archevêque Gaucerand, abbé d'Ainay

Mosaïque


19世紀にこのモザイクは修復されました。エネーの大修道院長が両手で教会堂を奉献している図ですが、誤った解釈のもとに作業がなされたため、オリジナルのイメージとは異なるものとなってしまいました。このことは、最近実施された調査でオリジナルのデッサン画が発見され判明したのですが、元来は、左手に笏を握った教皇パスカリス2世 Le pape Pascal IIが教会堂の上に腰を下ろしている、というイメージで、聖職叙任権闘争を反映したものでした。



Crypte et mosaïque

シャペル・サント・ブランディヌの内陣の下にはクリプトがあります。とても狭い空間で、中央のスペースは四角形のプラン、脇に2つの納骨所があります。天井には交差ヴォールトが架けられています。

クリプトからはサント・ブランディヌの石棺が発掘されています。床のモザイクは1854年に制作されたものです。



Chapelle Sainte-Blandine vue de la nef / mur nord de la chapelle


教会堂の身廊から、シャペル・サント・ブランディヌを見たイメージです。

身廊と祭室を隔てる壁には、半円筒アーチの開口部があります。これはロマネスクの時代に壁を貫いて造られたものです。


■Intérieur : chapelle Saint-Michel  et maquette de l'abbatiale

北側の後陣祭室シャペル・サン・ミシェル Chapelle Saint-Michelは、教会堂の北東に位置します。15世紀末に遡り、オジーヴ・ヴォールトで天井を覆われた、ゴシック・フランボワイヤン様式の造りです。この祭室には、現在、この教会堂の歴史と模型が展示されています。


ここには1100年より、ロマネスクの祭室 Conception de Marieがありました。15世紀に造り替えられ、以降、シャペル・サン・ミシェル Chapelle Saint-Michelになったそうです。


また、この後陣祭室の北東に、エグリーズ・サン・ピエール Eglise Saint-Pierreがありました。残念ながら19世紀の工事の際に、壊されてしまいました。そこを飾っていた数点の使徒或いは預言者の石像は、現在Musées Gadagneに移されています。


■Intérieur : chapelle de la Vierge
シャペル・ド・ラ・ヴィエルジュ Chapelle de la Viergeは、教会堂の南西に位置します。もとよりこの場所に祭室はあったそうですが、19世紀に建替えられ、縦方向に拡張されました。

1820年少し前までは、シャペル・サン・ブノワ Chapelle Saint-Benoîtでした。この祭室の装飾には、ローマの時代の柱頭彫刻が19世紀以降使用されています。


■Intérieur : chapelle Saint-Joseph

教会堂の北側には、シャペル・サン・ジョゼフ Chapelle Saint-Josephがあります。残念ながらこの祭室は、既存の祭室を壊して、全て19世紀に造り直されました。ここには制作が12世紀末に遡る小円柱が使用されていますが、これらは19世紀にSaint-Pierre-le-Vieuxより持ち込まれたものです。
また、この祭室に面して(教会堂の北側)、回廊があったようです。

この祭室の下からは、メロヴィング朝時代に制作がされた石棺が見つかっています。前述のように古文書で教会堂の存在について確認できているのは854年ですが、この教会堂の起源については、更なる調査・研究が待たれるところです。

■Intérieur : baptistère
ファサードの北隣に洗礼堂があります。1830年に新しく建てられました。


Porte du baptistère

洗礼堂の入り口は、かつて教会堂の北側の入り口を飾っていたものです。19世紀の修復工事の際に、開口部は封じられ、現在の場所に入り口を飾っていた部分がここに移されました。
この洗礼堂では11世紀に制作されたロマネスク時代の彫刻がみられますが、一部、1860年頃Fabischにより手が加えられています。これは、入り口が移された際、開口部の壁が2倍に厚くされたためかと思われます。

尚、建設の際にモザイクが発見されましたが、破壊されてしまったそうです。



Une main de Dieu au linteau du 11e siècle

開口部のまぐさの中央には、「神の手」が彫られています。これも11世紀に制作されました。


Chapiteaux romans  à gauche




Les puissances du Mal (les animaux fantastiques)
A gauche, les puissances du Mal, et  à  droite, la scène de Noé  par Fabisch



写真右側のノアのシーンが、19世紀に新たに足された部分です。



Chapiteaux romans  à droite




A gauche, l'enfant Jésus, et  à  droite, l'annonce aux bergers
A gauche, Jonas par Fabisch, et  à  droite, la  Nativité



写真左側のヨナが魚に呑まれ、という件がFabischによるものです。


Intérieur du baptistère : six arcades romanes

洗礼堂内部の連続アーチの装飾もロマネスク時代のものです。2つ一組で、半円筒型、柱頭には装飾が施されています。




Chapiteaux provenant de l'abbatiales Saint-Martin-et-Saint-Loup de l'Ile Barbe : X-XIe siècle


内部の柱頭彫刻は、同じリヨンにあるサン・マルタン・エ・サン・ルー修道院教会 Abbatiales Saint-Martin-et-Saint-Loup de l'Ile Barbeにあったものです。10・11世紀に制作されました。