エンヌザ Ennezat |
リマーニュ Limagne平野の中央に位置するエンヌザは、ガロ・ロマンの時代よりコミュニティが形成されたと考えられ、中世には方々の要所との通過点として人々が行き交いしていたようです。エンヌザの住人はナザデール Nazadairesと呼ばれます。 |
コンテンツ Contenus |
||
1 |
コレジアル・サン・ヴィクトール・エ・サント・クーロヌ Collégiale Saint-Victor-et-Sainte-Couronne d'Ennezat | |
■ |
参考 Référencesとリンク Liens | |
■ |
アクセス Accès |
Collégiale Saint-Victor-et-Sainte-Couronne d'Ennezat |
教会参事会の設立は1060年のことです。それとほぼ時を同じくして、この教会堂が建設されたと考えられています。 バッス・オーヴェルニュ Basse-Auvergneのロマネスク主要教会 Eglises romanes majeures de Basse-Auvergne(ロマネスク五大教会、但し不完全な形で現存するタイプ)に数えられる教会堂で、その中でも最も早い時期に建設されたもののひとつです。 13世紀に後陣はロマネスク様式からゴシック様式へと建替えられました。他方、八角形の鐘楼、Massif barlong、周歩廊、放射状祭室、モザイク装飾等のオーヴェルニュのロマネスク教会堂の特徴が現在でも見られます。 建物としてのヴォリュームは小さめですが、バランスがとれたモニュメンタルな教会堂です。 |
![]() |
「フランス歴史的記念物(Monuments Historiques/MH)」に登録されています。 La collégiale Saint-Victor-et-Saint-Couronne d'Ennezat est classée au titre des monuments historiques (MH). |
リマーニュは元来広大な湖で覆われていて、後に湿地となりました。このことにより、かつてこの教会堂は「Cathédrale de Marais」と呼ばれました(Maraisは「沼地」の意)。完全に水が干上がったのは、1930年頃だそうです。 |
■Extérieur | ||
![]() |
Vue d'ensemble sud エンヌザの教会堂のオリエンテーションは東ではなく、内陣は南東を向いています。1846-1870年ナルテックスの修復工事手直伴い、ファサードは造り替えられました。中央のバラ窓はオリジナルとは異なる場所に位置しています。 また、19世紀に教会堂の南側に新たに入り口が付け加えられたことで、南側面はロマネスクの時代とは形を変えてしまっています。 |
Portail au bas-côté sud du XIXe siècle 地上階の開口部は、大きなアーチの下に設定されています。尚この壁面より出っ張ったアーチは補強のためのものです。 |
![]() |
![]() |
![]() |
||
Mosaïque |
|||
Croisillon sud |
オーヴェルニュの教会堂に特徴的なモザイク装飾が、南翼廊の壁に見られます。 | ||
ロマネスク時代のトランセプトとゴシックの後陣の連結部です。 |
![]() |
Clocher octogonal 12世紀に建てられた鐘楼は八角形のプランで、これはオーヴェルニュのロマネスク教会の特徴のひとつです。ただ、その他の教会堂の鐘楼の開口部は2つ一組になっているのに対し、エンヌザの場合は、開口部はシングルです。 鐘楼は2層で、Massif barlongの上にのるようにして聳えていますが、東側はゴシック様式の内陣部分で隠されてしまっています。 Massif barlong オーヴェルニュのロマネスク教会堂の特徴のひとつである小ぶりなMassif barlongも、12世紀に建てられました。ここに3つ一組の半円筒型アーチが見られます。この装飾もオーヴェルニュのロマネスク教会堂の特徴です。 |
![]() |
Vue d'ensemble nord 身廊とトランセプトの造りとバランスについては評価が高く、オーヴェルニュのロマネスク教会の傑作のひとつとされます。オーヴェルニュの主要な教会と比べて、エンヌザの教会堂はヴォリュームに劣るのですが、そのサイズを感じさせない堂々たる佇まい、そして清逸な美しさです。 |
Chevet gothique コミュニティの人口増加に伴い、教会堂の拡張が計画されました。1200年代に祭室が新しく付け加えられ、更に教会堂全体の拡張工事も予定されていましたが、費用の不足により、幸いにも(?)後陣がゴシック様式で建替えられるに終わりました。 5つの放射状祭室が建てられたのは、14世紀初めです。 北側に張り出している2部屋は、かつて参事会室 Salle capitulaireでした。現在は聖具室 Salle sacristieになっています。 |
![]() |
■Intérieur | ||
![]() |
Nef 身廊も12世紀に建てられました。4ベイからなりますが、幅は僅か3.75メートル、長さ18.17メートルと、サイズはコンパクトです。高さ6.20メートルの天井には、半円筒ヴォールトが架けられています。 身廊への採光は、トリビューン又は両側廊の開口部からに限られるため、内部は非常に暗いです。 |
![]() |
![]() |
|
大アーケードは半円筒アーチになっています。大アーケードを支える四角柱には半円柱がついていますが、身廊に面した側にはありません。 | Tribune |
|
開口部は半円筒アーチが2つ一組でリズムを刻んでいます。天井は1/4円筒ヴォールトが架けられており、身廊の半円筒ヴォールトを支えています。 |
Narthex 現在ナルテックスとなっている場所は、元来ポーチで、その上に鐘楼が聳えていた(clocher-porche)と考えられています。そして現在のナルテックスも1846-1870年の間に修復の手が入っています。 身廊とナルテックスのトリビューンを隔てる壁の開口部の辺りの建設は、11世紀に遡ります。2つ一組の半円筒アーチの上に、半円型の開口部が貫かれています。 |
![]() |
![]() |
Bas côté sud 側廊の幅は2メートル、天井は交差ヴォールトで覆われています。 |
![]() |
![]() |
Croisée / Coupole sur trompes |
|
トロンプ技法によるクーポルの上に、八角形のロマネスク時代の鐘楼が聳えます。クーポルは卵形をしています。 このダイアフラム・アーチ Arc diaphragmeと両翼廊の間の細長いスペースは、1/4円筒ヴォールトになっています。 |
ダイアフラム・アーチは半円筒型の開口部で貫かれています。 |
![]() |
Croisillon nord トランセプトは12世紀に建設されました。両翼廊はあまり大きく張り出してはいません。ここも天井は半円筒ヴォールトで覆われています。 Un arc mitre entre deux arcs en plein cintre 装飾として、3つ一組の連続アーチがあります。三角の形をしたアーチが、半円筒のアーチに挟まれるようなスタイルは、オーヴェルニュ・ロマネスク教会堂の特徴です。 |
■Intérieur : chapiteaux | ||
Le supplice d''usurier ou le supplice de l'avare エンヌザの教会堂で、最も有名な柱頭彫刻です。「Cando usuram acepisti opera mea fecisti」と彫られているのが見えます。両脇の悪魔に捕らえられているのは高利貸しで、首から財布を下げ、足元にはお金が詰まった壺があります。 柱頭彫刻は、大半が植物モティーフですが、Sirène、Oiseau ( ou calice), Centaureといった動物や空想の生き物をモティーフとしたものもあります。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
■Intérieur : choeur gothique | ||
![]() |
![]() |
|
主祭壇の周りは6本の大きな円柱で囲まれています。 | ||
ゴシックの内陣は、3ベイから構成され、身廊よりも天井は高く、横幅も広くなっています。天井はオジーヴ・ヴォールトで覆われています。側廊から、5つの放射状祭室がついた周歩廊に続きます。 |
![]() |
Point de rupture entre roman et gothique ロマネスクのトランセプトとゴシックの内陣との連結部です。 ここにも、オーヴェルニュの教会堂装飾の特徴である、3つ一組の半円筒型アーチが見られます。 |
■Intérieur : deux peintures murales du XVe siècle | |
![]() |
![]() |
Peinture à la cire au côté sud : le Judgement Dernier (en 1405) |
Fresque au côté nord : la rencontre des trois morts et des trois vifs (en 1420) |
内陣には15世紀に制作された壁画が見られます。共に保存状態がよく、ヴィヴィッドな色彩です。 |
♠参考 Références♠ |
|
♦Eglise Collégiale d'Ennezat (guide) | |
♦Trésors de l'Auvergne Romane Noël Graveline Editions DEBAISIEUX | |
♠リンク Liens♠ |
||
♦PAYS RIOM DE LIMAGNE | http://www.tourisme-riomlimagne.fr/ | |
♦Ennezat.fr (Mairie d'Ennezat) | http://www.ennezat.fr/ | |
♦Communautéde communes Limagne d'Ennezat | http://www.ennezat-communaute.fr/ | |
♦diocèse de clermont | http://clermont.catholique.fr |
♠アクセス Accès♠ |
|
♦SNCFクレルモン・フェラン駅 Gare de Clermont-Ferrand、又はクレルモン・フェラン・バス・ターミナル Gare routière de Clermont-Ferrand、から、エンヌザまで、バス(Transdôme)で約45分。 | |
エンヌザの街は、歩いてまわることができます。 |