シュルジェール Surgères |
古文書において、この街に関する最も古い記載は936年です。シュルジェールの街は、ノルマン人からオーニ Aunis(ラ・ロシェル La Rochelle一帯)の土地を守るための防衛拠点としてカロリング朝の時代に開発されました。現在では酪農業が盛んで、Charentes-Poitouという銘柄のバターも有名です。 |
コンテンツ Contenus |
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エグリーズ・ノートル・ダム Eglise Notre-Dame de Surgères | |
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参考 Référencesとリンク Liens | |
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その他の街の見どころ Autres points à voir | |
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アクセス Accès |
Eglise Notre-Dame de Surgères |
1080年頃建設されました。周歩廊なし、木造天井の三廊式の教会堂です。 19世紀に大がかりな修復工事が行われましたが、ファサード、内陣、後陣、鐘楼は、ロマネスク時代の姿を残しています。 |
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「フランス歴史的記念物(Monuments Historiques/MH)」に登録されています。 L'église Notre-Dame de Surgères est classée au titre des monuments historiques (MH). |
サントンジュにおいて最も美しい教会堂のひとつです。最大の見どころは、「Façade-écran」と呼ばれるスクリーンのようなスタイルの、装飾溢れるファサードです。 |
■Extérieur : façade | ||
ファサードの幅は23メートルですが、バシリカ部分(身廊と側廊をあわせた幅)より南北それぞれ2メートルずつ広くなっています。2本のコルニッシュの水平方向のラインで上下に分けられ、垂直性よりも横幅が強調された造りになっています。 ポワティエのノートル・ダム・ラ・グランド教会 Eglise Notre-Dame-la-Grande de Poitiersを想起させますが、シュルジェールの教会堂には、ファサードの両脇にPomme de pinと呼ばれる尖頭をもつ鐘楼の塔はありません。 |
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ファサードは19世紀に修復されていますが、ロマネスク時代の息吹とリズムはけして色褪せることなく、彫刻の品質は注目に値します。 | ||
円柱の束からなるバットレス contreforts-colonnesが、南北両脇から挟むようなスタイルです。このバットレスは南北で異なり、北(左)側は上のコルニッシュまで続いていますが、南(右)側は下のコルニッシュを境に円柱が上下に連なるような印象です。同時に、下のコルニッシュの両端部分も異なっており、北側はバットレスから始まっているのに対し、南側は円柱に挟まれている部分には、柱頭彫刻の装飾が側面まで続きます。 | ||
上下層のアーチの位置は必ずしも同じではなく、それぞれ南端のアーチが一致しているのみです。 |
■Extérieur : registre en bas de la façade |
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下層にはアーチが7つ連続して並びます。中央のアーチのほかは、半円より深い弧を描いています。アーチのサイズの並びはアシンメトリックです。またタンパンの位置にあるニッシュの有無にも、規則性はありません。これら7つのアーチは円柱によって区分され、この円柱はファサードの中央を横断するコルニッシュまで続きます。 |
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Portail : manque de tympan 中央入り口には、この地方によく見られるように、タンパンはありません。 |
Arcade : voussures variées (dents de scies, rondins, besants, pointes de diamant etc.) |
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装飾の豊かさはアーキヴォールトにも見られます。実にバラエティに富んでいます。 |
Bas-reliefs dans les niches : identifiaction incertaine |
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中央入り口の両脇にあるアーチには、それぞれタンパンの所にレリーフがありますが、これらは劣化が進んでいて、テーマは識別し難くなっています。南側端より2番目のアーチのタンパン部分にもニッシュがありますが、空になっています。 |
Corniche en bas |
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Des signes de zodiaque, des travaux des champs, atlantes, acrobatrs, musiciens, montreurs d'animaux, diablotins, orgueilleux piqué par un serpent, oiseaux, animaux, monstres, dragons, griffons, basilics, sirè nes, etc. | ||
ファサードは、まず、1480年頃に大規模な修復工事が実施され、一部の彫刻が、ロマネスク時代のものから新しいものに置き換えられました。また更に19世紀にも修復の手が入りましたが、それでも今尚、彫刻装飾はその質を損なうことなく、ロマネスクの息吹を私達に伝えてくれます。これらバラエティに富んだテーマをモティーフとした彫刻群は、ロマネスクの時代の多彩なシンボリズムをそのまま具現している、或いはその一覧であるかのようです。 |
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コルニッシュのこぼれんばかりに豊かな装飾は、オルネーのサン・ピエール教会 Eglise Saint-Pierre d'Aulnay-de-Saintongeとの類似性を感じさせます。モディロン、メトープと余すところなく彫刻装飾が施され、更に柱頭にもしっかりモティーフが刻まれています。この下層のコルニッシュについては、フリーズにも注目です。小さな人物達が様々なポーズをとって、組紐模様を描くようにして連なっています。 |
■Extérieur : registre en haut de la façade |
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上層は19世紀に修復されました。4つのアーチがありますが、それらは不連続です。アーチの大きさはそれぞれ異なり、北端のものが最も大きいです。 |
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上層にある2つの壁龕には、cavalier=馬に乗っている人物の姿があります。マントが風にたなびく様子が颯爽とした印象を与えます。この騎馬像は、ポワトゥ・シャラント地域でよく見られるテーマです。この2人が誰であるかについては諸説あるようですが、ミラノ勅令でキリスト教を公認したローマ皇帝コンスタンティヌス1世、又はこの教会堂の創設者というのが有力のようです。 |
Arcs |
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![]() 北端にあるアーチの第3層のアーキヴォールトには人物の姿が見えます。 ![]() |
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中央アーチの下にある開口部は、19世紀の修復工事の際に設置されました。 |
Corniche en haut |
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上層のコルニッシュは、フリーズには彫刻は施されていません。南端の柱頭は裸のままです。尚、上下のコルニッシュに人物の顔をかたどったものは、116もあるそうです。 |
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■Extérieur : chapiteaux | |||
2つのオブジェが向かい合うスタイルが多く見られます。ゾウをモティーフとした柱頭彫刻は、オルネーのサン・ピエール教会 Eglise Saint-Pierre d'Aulnay-de-Saintongeや、ポワティエのミュゼ・サント・クロワ Musée Sainte-Croixに収蔵されいてるサン・ジャン・ド・モンティエールヌフ修道院教会 Abbaye Saint-Jean deMontierneufのものと酷似しています。 | ![]() |
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Les deux éléphants affrontés |
Les deux éléphants affrontés |
Les deux lions affrontés |
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Les deux chimères affrontés |
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Clocher シンボリックな鐘楼は、1899年に起きた火災後の再建工事で、オリジナルのものより高く建てられましたが、それでもロマネスク時代の姿をよく残しています。 八角形のプランで一層のみです。計16の開口部はとても細長く、それぞれ細い円柱・半円柱で装飾されています。 |
Chevet 後陣も19世紀の大幅な修復工事にも拘わらず、ロマネスク時代の姿を残しています。コルニッシュにやはり個性的な柱頭彫刻やモディロンが並んでいます。 |
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Flanc nord |
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■Intérieur | ||
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Nef 身廊は4ベイからなります。元来、天井には石造のヴォールトが架けられていましたが、15世紀の修復工事の際に木造天井となりました。 身廊と側廊を隔てるアーケードのアーチは、長方形型の角柱(八面)からのぼります。この柱も15世紀に設置されたものです。 |
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Grande arcade |
Bas-côté sud |
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大アーケードは、尖頭アーチです。木造天井を直接支えています。 |
身廊への光は主に側廊の開口部からによりますが、堂内は比較的明るいです。 |
Sculptures gotiques aux impostes |
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角柱のインポストのところに、人物や動物、人魚等をモティーフとした彫刻が見られます。 |
Croisée / Coupole sur trompes トランセプト交差部にあるトロンプ技法によるクーポルの上に、シンボリックな鐘楼が聳えます。 トランセプト交差部、特にクーポルを支える四角柱がこの教会堂で最も古い部分で、建設はファサードよりも古く、1100年頃に遡ります。 |
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Croisillon nord |
Croisillon sud |
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翼廊は15世紀に修復工事が施されたものの、ロマネスク時代の姿を残しており、天井には半円筒ヴォールトが見られます。北の翼廊にはルイ13世の祭壇があります。 |
■Chapiteaux | |||
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Les archanges Saint Michel, Saint Rhaël et Saint Gabriel |
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内陣の装飾も豊かです。植物モティーフの柱頭彫刻はとても繊細な彫りが施されています。EnferとParadisの柱頭彫刻もあります。 | |
Choeur |
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サントンジュ風の内陣は、円柱が採用されています。ここもやはり19世紀に修復の手が入りましたが、ロマネスク時代の姿を残しています。3つの開口部により、光溢れる空間になっています。 |
Absidiole gothique 長方形プランの後陣祭室は、ゴシックの時代に建替えられました。 |
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■Crypte | ||
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内陣の下に広がるクリプトは、16世紀に修復工事がされました。ここでは中央の四角柱を軸に、4つの大きなアーチが架けられています。現在内部はガランとしています。 かつてクリプトの下には地下納骨所があり、フランス革命より前にはシュルジェール領主の墓がありました。 |
Peinture murale : anges sonnant de la trompette, qui évoquent le Judgement Dernier クリプトに描かれているトランペットを吹く天使達の壁画は、16世紀に描かれたものです。彼らは最後の審判を連想させます。 |
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♠参考 Références♠ |
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♦L'EGLISE NOTRE-DAME de SURGERES (guide) | |
♠リンク Liens♠ |
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♦la ville Surgères(Mairie de Surgères) | https://www.ville-surgeres.fr/ | |
♦Office de Tourisme Aunis Marais Poitevin | https://www.aunis-maraispoitevin.com/ | |
♦bernezac.com | http://www.bernezac.com/ |
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♠その他の街の見どころ Autres points à voir♠ |
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♦シャトー・ド・シュルジェール Château de Surgères | ||
Pont-Levis du 12e siècle (porte nord du château) |
♠アクセス Accès♠ |
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♦SNCFポワティエ駅 Gare de Poitiersから、シュルジェール駅 Gare de Surgèresまで、TERで約1時間10分。 | |
♦SNCFサント駅 Gare de Saintesから、シュルジェール駅まで、TGV/TERで約1時間40分。 | |
シュルジェールの街は歩いてまわることができます。 |